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『プラスティックエフォート』

時計を忘れたときの不安感ってあるだろう?
手帳を忘れたときも同じ

でも、サイフを忘れるよりはいいか、っていう
そういう諦めみたいな、そんな感じ

今日も薄い不安感を纏って歩く
諦めをカバンに仕舞い込んで
by basketworm | 2010-10-30 03:52 | 『28のブラックホール』

『ゆーつ』

そいつは
「ゆーつ」は
いつの間にか僕の心にすっと入り込んできて
いままでずっと一緒に暮らしてきたような
生まれる前からずっと一緒で
死んでからもずっと一緒にいるような
不思議な安心感と
ともすれば高揚感すら与えてくれる存在で

何回も何回も僕の頬にキスしてくれるし
僕が目を閉じて
また目を開けるまで
じっと隣にいてくれる

抱きしめていいかな
名前、呼んでいいかな

そんな
あやふやな僕の覚悟を打ち砕くように
中途半端な僕の決意をあざ笑うかのように
「ゆーつ」は言う

まだまだ、やらなきゃいけないことがあるでしょう?
わたしはいつでもそばにいるから
いつでもあなたをまっているから
あなたはあなたの、できることをしていればいいの

僕はどうすればいいんだろう
ブラックホールの中で僕は
強烈な重力に押しつぶされ
自分という塊が分裂して行く様を
どこか冷めた目線で眺めている

しかめ面の「ゆーつ」は何も
答えてはくれない
by basketworm | 2010-10-22 03:15 | 『28のブラックホール』

『癖』

それは僕の悪い癖だ
いつ終わるともわからない幸せな瞬間を
永遠だと思い込んでしまう

幸せを感じるのはきっと
その終わりを意識しているから

永遠に続く時間の中では
幸せなど感じないというのに

信じ込んでいた
信じ込んでいた

つまり僕は
いつか終わることを知っていたのかもしれない
by basketworm | 2010-10-21 03:33 | 『28のブラックホール』

『秒針』

放たれた言葉の意味を考えながら
痙攣する秒針を見ている

電池の力が弱まっているのだろう
45秒から60秒までに時間がかかる

そのかわりにしてはやや強引だが
1秒から30秒までを一瞬に縮める

辻褄合わせ
時計ですらできるのに

僕はと言えば
放たれた言葉の意味に
痙攣する病身だ
by basketworm | 2010-10-20 20:27 | 『28のブラックホール』

『泣かない人』

その人は
新世界と串カツとビールとタバコとしかめ面と笑顔がよく似合う

キズだらけの左腕を見たとき
その人は僕よりもだいぶ強いんだと
そう思った

その人は
一人で静かに嗚咽しながら
赤い涙を腕から流す

誰も傷つけないように
自らを傷つけながら
by basketworm | 2010-10-19 23:47 | 『28のブラックホール』

『優しさ』

その優しさはいつか
人を傷付ける

ふわふわの綿に染み込ませた
精一杯の優しさは
じわじわとじわじわと
首を締め付ける

痛くないように
でも確実に
by basketworm | 2010-10-17 22:45 | 『28のブラックホール』

『例えば今が全てなら』

例えば今が全てなら
僕はこうして笑っていればいいんだろう

じゃあ、今ってなに?

つかむことのできない一瞬、一瞬の連続を今というなら
過去は
未来は
それすらも今になる

僕にとっては今が全てだから
過去も未来も、大事だから
だから、だから
これまでも
これからも

笑って生きようと思うんだ
どんなことがあっても
なにがなくても
by basketworm | 2010-10-14 17:12 | 『28のブラックホール』

『夜更け』

一人で過ごす夜なんて慣れている
そう思っていた

思いの外大きな音を立ててその扉が閉じてしまった後
僕は信じられないくらいの寂しさに襲われた

ふるふる
ぶるぶる
がたがた

次第に震えは大きくなって
呼吸も荒くなる

どこだ
ここは
どこだ
ここは

どこどこ?
ここここ?
だはだは?
????

抜け出したいと
心から願う
願うそばから問いかけられる

ココガドコダカワカラナイヤツガ
イッタイドコヲメザシテヌケダスノダ
オロカモノメ
by basketworm | 2010-10-13 18:08 | 『28のブラックホール』

『コインロッカー』

パンドラの箱を開けたら
おびただしい数の厄災が飛び出して
最後に残った希望を大事にしようと
丁寧に蓋を閉めた

ぬるりと踏み入れたその穴は
聞いていたよりも居心地はよくて
それはそれでいいんじゃないかと思った

不思議なカギでコインロッカーを開く
飛び出したのは厄災でも希望でもなく
革製の茶色のバッグで

気がついたら僕は泣いていた


このバッグに僕はこれから
たくさんの幸せを詰めようと
そう思って泣いていた

思いのほか
容量の大きい革製のバッグに
身の回りの幸せをかき集めて
手当り次第にぶち込んでやろう


大事にしてたパンドラの箱に
僕は静かにカギをかける
by basketworm | 2010-10-13 03:04 | 『28のブラックホール』

『前夜』

急速に吸い寄せられてやってきた
この、暗闇が広がる入り口
「28にはブラックホールが存在する」
受け流して聞いていた言葉が真実味を増す


淵に立ってみると
果たして、時の流れは遅い
遅く感じる、のか
一瞬が引き延ばされ
米粒をピザの生地の大きさにするように
そんな感じで引き延ばされ
永遠に続くんじゃないか
抜け出せないんじゃないか
そんな一瞬が続く
快楽も
苦痛も
全ての感覚が研ぎすまされてくる
悪くない
悪くないんだ、今の気分は


ともあれ、一度は通らなければならない穴
その入り口に今、僕はやってきた
by basketworm | 2010-10-12 16:37 | 『28のブラックホール』