『シネツイン』

古びたビルの地下にあるその映画館の
深く腰掛けることのできない古びた椅子に座り
市内ではここでしかやってない最新のイギリス映画を観る

平日の午前中にこんなとこに来る奴はいない
客は一人
今まさに 僕だけの為に 映画は始まろうとしている

真ん中へんに座ったのだけれど
メガネを忘れたから セリフのほとんどはわからない
席を移るのが億劫で
イギリス映画特有の 小気味よいテンポで 画面が変わるのだけをじっと観てた


1時間ちょっとのその映画が終わって
怪訝そうな表情の受付のおばちゃんに一瞥して外に出ると
当たり前だけどここはイギリスじゃなくて
お昼時だからいたるとこから日本的な香りがして
気分がちょっと萎える


そんなときに口をついて出た言葉は

Fuck!!

意味もよく知らないのに
なんだかかっこよく思えたから
二度三度繰り返してみる


あれから6年余り経つ
あの映画館はもう
ビルごとなくなっている

受付のおばちゃんは今どこで 何をしてるだろう
きっとイギリスなんて無縁の生活をしてるんだろな

もちろん僕だって
イギリスとは無縁
今でもFuck!!の意味はよくわからない


けれどあの日 映画が終わって
両端からスクリーンに被さってきた幕は
何かにひっかかって途中で止まった

だから未だに僕はあの続きの中
真っ白いスクリーンに映る雨粒のようなものを相手に
格闘する毎日
今度はこの
素晴らしき世界の中で



05.3.14
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by basketworm | 2005-03-14 06:38 | ココロ


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